18きっぷで輪行~災害復旧ボランティア 尾道市へ~後編

018年8月19日投稿

広島県尾道市の災害復旧ボランティア参加2日目は、尾道駅からほぼ北の方向に行った、尾道市社会福祉協議会本所のある市総合福祉センターに8:30集合です。

宿泊した「旅館神野温泉」の玄関先が、昨日とは異なるフェリー渡船の船着き場。距離が短く、乗っているのが1分程度なので、渡船料も安く60円と自転車10円の計70円。こちらは乗船口通過時に支払います。

宿から自転車に乗り、そのまま社協に向かい走りますから、海を渡った気がしませんね。
2.5km程の緩い上りですが、難なく到着。もうたくさんの参加者が集まっておられ、行き先振り分けなど、スタッフの皆さんがテキパキと案内指示して下さいました。
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この日のボランティア作業場所は、向島でした。
そこは昨日往時に通った、隣の岩子島にかかる赤い向島大橋の下を超えた先の漁港付近の場所。
ですから、自転車は渡船場から行くので、それほどの距離ではなかったようですが、この日の車は、センター近くの新しい国道2号線からしまなみ海道西瀬戸自動車道を経由し、東尾道あたりを回り込むような形で海峡(尾道水道)を渡っていくので、遠い場所のような感じがしていました。
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         *写真に写る家々は被災宅では有りません。

現場は因島が望める少し高台のお宅で、裏の石垣が組まれていた畑の斜面が崩壊し、かなりの量の土砂と岩石が裏と西側に流れ込みが壁面を押して堆積した状態。
お宅から下の車道への通路がバイクが通る程度の道幅なので、土砂を土嚢袋に詰めて車道脇まで一輪車でリレー搬送する形で作業が行われます。

この日の作業スタッフは中学?野球部の元気な若者と、マネージャーなのか女の子たち、それに社会人男女など10名程とお家の方。
15分の作業と5分の休憩パターン、昼は1時間休憩後2時30頃に終了します。

この日も暑く、水分摂取は十分に行い、やはりドリンク等の差し入れも頂き、決められたスパンで一息つきながらの作業でしたので、さほど疲れは感じませんでした。
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やっと西側の土砂を大半除去できたようでしたが、裏の堆積土砂が大量のようで、完全除去にはまだまだ作業が必要に思われました。土砂を取り除いてみないと家の土台の状況がつかめないとのことで、前日の因島のお宅の奥様が吐露されたお話もそうでしたが、多かれ少なかれ被災されたお宅のご心労は大変なことと察します。

センターへ戻ると、まず靴裏周りを高圧洗浄機できれいにしていただいた後、消毒液漕を通って入館。そして更衣後、宿に向かいます。

今日の宿は初めて経験してみようと、ゲストハウスを検索し、有名な観光スポットの千光寺に隣接した、尾道ゲストハウス「みはらし亭」の予約の取れる男女混合ドミトリー(泊のみ2,800円)を申し込んでいました。
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この宿は現在、重要文化財指定の建物で、元のオーナーが千光寺の境内の一部を譲り受け茶園(さえん)として建築。その後旅館としても使われた後、30年ほど空き家になっていた築100年ほどの建物。

「尾道市空き家バンク」登録され、それをNPO法人「尾道空き家再生プロジェクト」が賃貸契約し、ご苦労を重ねて平成28年春にゲストハウスとして活用開始されたとのこと。尾道では何カ所かで空き家をゲストハウスに再生されておられ、宿泊時には、明日もこの関係の研究会合が開かれる予定だと、大学の先生と学生さんが同じ部屋に泊まられ、お話を聞くことができました。

宿まで自転車は無理、と聞いてはいたが、この機会にどうしても行きたいので、ちょっとばかり?苦労しますがトライ!
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まず、千光寺山ロープウエイ受付で輪行バックならOKを確認し、エレベータもあるのであまり苦労することなくゴンドラへ持ち込んで山頂へ。(写真に写る手前下の柏木のある屋根は神社の門です。ロープウエイは、艮神社と千光寺を足下に跨いで山上の「恋人の聖地💕」へ行くんですね。”エエのかなあ~と思ってしまいますね。)

頂上展望台の広場からは車道も有るので、そこから急坂を輪行バックをくくり付けたカートを引きつつ降りて、尾道市立美術館前を左手に折れ、山麓を巻くように千光寺境内へ。程なく岩の重なる千光寺境内に来ましたので、階段そばにバックを置いて、千光寺へお参りに。
境内の鐘楼です。ロープウエイはこの境内の真上あたりを通過します。
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降りてくる途上や展望台周辺、千光寺境内は「文学のこみち」となっており、独立した石碑や大岩に刻み込まれてあったり、25基の石碑が有るとのことで、周辺の施設も含めてゆっくり散策するととても趣のあるところですね。

お堂横の岩肌に、NHK朝ドラで知った仲間由紀恵さん演じる「柳原白蓮」の歌も見つけて何やら情景が思い浮かびます。

ちち母の声かときこゆ瀬戸海に

み寺の鐘のなりひびくとき    (柳原白蓮)

そして、千光寺からの眺め、尾道の街並みと尾道水道、向島の風景が「ここへ来たんだ、尾道へ来た!」そんな感動を更に増長させてくれます。
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さて、みはらし亭に向かいます。とはいってもほぼ千光寺の境内ですね。輪行バックを置いていたそばの数十段の階段とその先を2回ほど担いで降りれば、もう「みはらし亭」玄関。
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*画像をホームページからお借りしました。

受付がカフェ・バーになっており、ガラス窓の多い、吹き抜けの造りでとてもいい雰囲気。ここで夜景を見ながら一杯、、、なんて飲める人はイイネ🥂。

私の泊まるお部屋は二階の混合ドミトリールーム。この日は外国男女ぺアの方と一人旅らしい外国女性の方を含めて、畳のふた間で9人が宿泊します。畳まれた寝具を自分でセットして、ある程度間隔も空いているのでそれほど気にならず、それに前述した大学の先生と談話していたので慣れてくると、意外に違和感もなくなりました。

それにしても、ほんとに建物の造作も立地も情趣豊かなこの様な所で、わずかでも時を過ごせるのは有り難いなと思います。

重要文化財に指定されている建物ですので、利用に当たり注意することがいくつか有ります。興味を持たれた方は、ホームページで確認されることをおすすめ致します。http://miharashi.onomichisaisei.com/
みはらし亭1
*画像をホームページからお借りしました。

しばらくして、明日の自転車ルートを探索がてら夕食に尾道ラーメンでもと街に降りました。海側の焼き肉兼ラーメン店で頂きましたが、何で、”尾道ラーメン”なんだろうと疑問が。何か特徴が有るのかなーと、しばらく横の尾道水道縁のくつろぎスポットで行き来する船を眺めてぼんやり。あと近くのスーパーイオンまで行き、少し買い物をした後、暗くなった路地を階段のないルートを探りつつ上っていきます。

みはらし亭の見える手前あたりまで地元の方のバイクが来ている小道を確認し宿へ。宿のシャワーを浴びて、買った明日の食料を共用冷蔵庫に入れてお部屋に。そしてパブからわずかに聞こえてくる多言語の声を子守歌に就寝。
(おにぎり、バナナ等を間違って冷庫に。で結果、昼食はパサパサのおにぎりに真っ黒皮のバナナ、、、)

朝は6時過ぎに起き、千光寺境内と、みはらし亭すぐ下の、アララギ派で46歳で亡くなった歌人「中村憲吉」が療養で過ごした終焉の家の前を散策。猫の寝そべる玄関に通じる公園風の通路脇に歌碑が有りました。

千光寺に夜もすがらなる時の鐘
耳にまぢかく寝ねがてにける   
(中村憲吉)

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さて、身支度を調えて、今日も尾道市総合福祉センターへ出発。自転車は組みたてて降りることにしました。
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ゆっくり引いて降ります。この先右手に夕べ確認した小道が有るはずですが、左手に三重塔が見え、「猫の細道」の表示があったのでそちらへ進行することに。ゆっくり階段を転がし、時には担いで進みます。
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細い路地には、招き猫美術館や生きてるフクロウがガラスの額縁窓から覗いているお店、アートのお店などが次々と現れますが、じっとしているとヤブ蚊の襲撃に閉口。でも、そこここで猫ちゃんと出会い結構楽しみながら進み、艮(うしとら)神社の境内に。そこにはとてもでかい!クスノキにびっくり。(ロープウエイは、この巨大なご神木を跨いで行くんですね。先の写真を見ると引っかかりそう!)
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そして更に先には異様な光景。
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神社の門の上に被さるようにロープウエイの駅。この門の真上でロープウエイが発着しているんですね。これもとても珍しいことですね。そのせいなのか、たぶんこのような建造物の屋根は銅板葺きだと思うのですが、一部だけ緑青色で、後はトタン葺きのようなさび色ですね。

尾道市総合福祉センターに着き受付に行くと、あれっ?
これまでボランティアの電話受付対応をして頂き、センターでも自転車置き場や荷物預かりなどのお世話をして下さった優しい綺麗なお嬢さんが、尾道社協の方と思いこんでいましたが、この日は上衣に(たしか)神奈川県社会福祉協議会のゼッケン。

改めて他の方を見ると、各地の社会福祉協議会から支援に来られているんですね。

今回の災害現場の報道等で警察や自衛隊の派遣活動は知っていましたが、震災の時と同じように、それ以外の各都道府県の行政、福祉関係の方も組織的に復旧支援に活動しておられたのですね。

この日の救援ボランティアの場所はちょっと遠方とのことで、集合後すぐに出発。場所は失念したが、途中高速道路が見え隠れしていたので、尾道市御調(みつぎ)町あたりだったか。
最初は2班に分かれ、こちらは浸水したお宅の畳上げに従事、それが早く済み改めて別の班の場所へ。
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緑のトーンが美しい、奥まった山あいのお宅です。昨日と同じようにお宅の裏の山裾が一部崩落して堆積した土砂の撤去です。2班が合流し、15名前後だったと思います。今回は社会人に大学生も混じり、女性も多く姉妹のような親子も参加。
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天候は、写真の私の肩越しに見えるような空模様で、そんなに厳しい日照りもなく、大きいお家の建物間の広い屋根付き土間スペースで休憩できましたし、氷菓や果物などの差し入れも頂き、予定通りに作業がはかどり終了できたようです。それにしても今日のウーマンパワーはなかなかのものでしたね。

センターで更衣後、駅途中の通りがかりの電気風呂銭湯で汗を流そうと思いましたが、掲示されている離れた駐輪場の場所がわからず、そのまま駅へ向かい予定より早く乗車。緩やかなカーブの続く尾道の車窓の景色に心残りの想いを重ねて帰路へ。

この日のJR行程の要約:
JR尾道16:18(播州赤穂行)~17:47岡山18:00(姫路行)~19:25姫路19:26(新快速長浜行)~20:28大阪20:47(区間快速加茂行)
(通常料金;尾道~奈良5,400円  *青春18きっぷ1日分は2,370円)

ご覧いただき有難うございました!

Posted by ss-kinkon