まぼろしの鉄道「五新線」を歩く ~五新線ウォーク~

2018年11月10日

🔶 奈良県五條市の五条駅から和歌山県新宮市を結ぶ路線として、1939年(昭和14年)に着工されたが、太平洋戦争も挟んで紆余曲折があり、結局1982年に中断し凍結のまま断念された旧国鉄計画路線。

一部完成した路盤を利用し五条駅から城戸(じょうど)までをバス路線として先行開業していたが、2014年9月末でバス運行も終了した。

今回の「五新線ウォーク」は阪急交通社(トラピクス)の日帰りツアー特別企画で、一旦吉野川近くの観光交流センターからバスでスタート地点の城戸バス停跡まで乗車し、そこから五条駅方向へ観光交流センターまで戻る約13kmのコース。

観光センターでは河瀬直美監督の映画「萌の朱雀」の国村隼さん、尾野真千子さん等出演の撮影の様子がパネル展示され、TVでは映画のシーンも流されていて、これからのウォークをより興味深いものにさせてくれました。
DSCI0813現在は通常歩けないルートだが、特別許可で五條市の方に路線跡のコースの進入禁止柵を開戸していただき、要所で「通行手形」を提示して捺印を頂きウォーキングするシステム。

五新線跡ウォークコース

🔸写真のガイドマップ右下「城戸バス停跡」よりスタートです。

GoogleMapを拡大してみると、五新線予定道路跡は城戸から先も続き、西吉野町西野のトンネル予定手前まで続いて明示されています。

五条駅からのバスの終点だった城戸地区は、旧西吉野村役場(現五条市役所西吉野支所)のある中心地。
DSCI0804_R上の写真、奥にバスが見えるところがスタート地点。

ここより約13kmのウォーキング。トンネルも6箇所のうち5箇所を通り抜けていきます。(1箇所長いトンネルは危険なため迂回)

この日の参加は静岡県や京都府からバスで来られた方々も一緒でした。
DSCI0814_R最初の「黒淵トンネル」の手前で通行手形(通行許可証)に検印を頂きます。
五新線許可証1

DSCI0815_R

DSCI0836_R少し長いトンネルは懐中電灯を頼りに進みますが、なかなか目が慣れず歩きにくいことしばしば。時には水たまりや天井からの滴りにヒヤリとすることも。
DSCI0822_R山の斜面に畑と家屋が望める里山ののどかな風景を眺めつつ、久しくバスが通らなくなって落ち葉が降り積った道を歩みます。

IMGP1582シロノセンダングサ(白の栴檀草)と思います。清楚な花ですが、近づいてイガっぽい種がいっぱい着き、閉口。

IMGP1577-2ベニバナボロギク(紅花襤褸菊) タンポポ状の冠毛がボロのようだと付けられた名前。

かわいそう、、、野草って、ナイーブな草花たちからすると、結構無神経な名付け親が多いですね。
DSCI0824_R「路線バス専用道」の立札。旧国鉄バスが描かれていますが、その後4年前の廃止まで奈良交通に引き継がれていました。

今回のルートで山間部は大半が立ち入り禁止になっていましたが、道の両側に民家が点在し一部区間は農道や里道として利用されていました。

IMGP1583_R猪よけの網にサネカズラ(実葛)、別名ビナンカズラ(美男葛)の実。
DSCI0826_R道沿いの柵に枕木を利用したところも。線路を敷設するために準備されていたものでしょうか。
IMGP1590_R薮の傍にシュウメイギク(秋明菊)の蕾。


やや長い「大日川トンネル」を抜けたところで眼下に丹生川と国道168号線。

国道をゆく車に手を振りつつ歩みを進めます。
DSCI0818_R普段は閉鎖されているフェンス。スタート地点から道沿いの何箇所かの新たに植えられた木に、鹿🦌の食害から守るためと思われる金網がかけられていました。
DSCI0827_R短い屋那瀬トンネルを抜けたところで川原に降りて、丹生川の沈下橋を渡って休憩と昼食場所となっている向かい側の廃校になった学校の体育館に向かいます。
DSCI0829_Rよく四国の川の映像で見た沈下橋のイメージと異なり、ここは水面近くの岩にコンクリート橋をかけた「超沈下橋」といったところか。

実は、降り口のほんの少し先が映画「萌の朱雀」の「恋尾バス停」でしたが、誘導の方の指差す案内に従い川原に降りたのでした。降りずに先に行かれる方もおられたので、ん?と思いましたが、うーん残念!

五新線許可証2🔸 休憩昼食場所の体育館で「新」の検印スタンプを押していただいて弁当を。

各地で活躍されている陽気な「ひげの梶さん」の話に耳を傾けながら柿の葉ずしも入った五新線ウォーク弁当に舌つづみ。
五新線ウオーク弁当ごちそうさまでした!
DSCI0833_R🔸 今度は沈下橋下手の橋を渡って五新線跡に戻ります。その橋を渡り切ったところを右に坂を登れば、先に述べた「萌の朱雀」の恋尾バス停。

上の写真の橋の右手がその場所でしたが、橋の根元の下をくぐって向こう側から五新線跡に出たので、バス停は視界に入っていたのでしょうが気づかず。それより、写真左側の立派な茅葺き屋根の建物に気を取られていました。

DSCI0834_R重要文化財指定の堀家住宅で南朝三天皇の賀名生(あのう)皇居址。

背後の山の中腹に稲荷神社の朱い鳥居が覗いていますが、その山上に北畠親房の墓所があります。

すべて後で知りました。こちらも残念!


DSCI0838_R丹生川を渡ったらすぐに親房(ちかふさ)トンネル。

この名称は北畠親房に因むものですね。先に述べたように、トンネルのある山頂に南北朝時代に南朝方で活躍した北畠親房の墓所があります。

そのトンネルを抜けるとほどなく、また蛇行する丹生川を渡りますが、そこも結構高所なのに、更に上に国道168号線につながる賀名生(かなう)大橋が架かり、高所恐怖症の身には下を見ては足がすくみ、上を見てはくらくら目まいが。

しばらく行くと長~い生子(おぶす)トンネルがありますが、内部に危険箇所があるとのことで通行禁止。ぐるりと丹生川沿いに迂回して行きます。

途中、最後の通行手形スタンプは「線」で、「五新線」の出来上がり。
DSCI0840_R通り沿いのザクロ(石榴)の葉が色付き、中に赤い実。コントラストが綺麗でした。


IMGP1598_R
道端のあちこちに茄子の仲間のイヌホオズキ (犬酸漿)。可愛い1cmほどの花と丸茄子をとても小さくしたような実、黒紫になったナス色の実を付けているのもありました。

回り道をして老野地区から国道168号を通り、生子(おぶす)バス停付近で生子トンネルの反対側に出ました。
DSCI0842_R旧生子バス停の奥にトンネル口、柵で閉鎖されています。

また丹生川を渡り、ここから先はだんだん開けた地形になって行きます。
DSCI0844_R道は西吉野第二発電所の送水管を跨いで続きます。
道端の田畑は猪よけ柵を設置していますが、それでも田の中はほじくられてボコボコ。

 

五新線の何かの杭なのか、古びたコンクリート杭が等間隔に、この先の田畑の中にも立っていました。
両側に柿畑が広がって来ました。このあたりはもう農業道路として活用されています。
DSCI0847_R道端に紫褐色の線が特徴的な外来種のタカサゴユリ(高砂百合)。他に数本ありましたがこれ以外は皆枯れて種を付けていました。
DSCI0849_R別の場所にはヒイラギ(柊)
DSCI0852_Rその隣にキンポージュ(金宝樹)。カリステモン、ブラシの木と言いたほうが通りが良いかな。スズメウリ(雀瓜)も飾りを添えて、ここは早々とX’masモードですね。

DSCI0853_R🔸 もうじき五條市の視界が開ける場所にきました。道端の水路にはミゾソバ(溝蕎麦)が咲いています。

写真はまだ蕾のようですが、タデの仲間の花はアップで見るとほんとに可憐で美しいですね。
IMGP1609_R

DSCI0854_R

IMGP1606_R

IMGP1607_R田畑が広がり、畦にはホトケノザ(仏の座)マルバルコウソウ(丸葉縷紅草)のコラボ。

金剛山と五条の街並みが見えてきました。もうじきゴールの観光交流センター。

 

🔸 そこで通行手形に「完歩おめでとう」のシールを張っていただき、ご褒美に柿をいただきました。

元気な方は更に新町通から「五新線高架跡」等を回って行きますが、足の疲れがあり、以前行ったこともあるのでこの日は直接JR五条駅へ。楽しいウォーキングでした!!

ご覧いただき有難うございました!!

 

 

 

 

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Posted by ss-kinkon