名水を求めて ~奈良県宇陀市 「高井 の千本杉」の湧水~
2019年4月17日
所要のついでに、西名阪自動車道福住インターから西へ車を走らせ、里山の花景色と、併せて「高井千本杉の杉井戸」の名水を求めて奈良県宇陀市榛原へ。
そこは以前にこのブログの記事にした、やはり宇陀市榛原区の「墨坂神社のご神水」と同様に奈良県認定の「やまとの水」。
高井の旧街道、伊勢本街道沿いにある天然記念物「高井の千本杉」。
いにしえの本来の井戸は、この杉の根元に囲まれて在ったのだろうが、今の井戸はその杉の近くに造られてある。
しかし、現在は斜面又は根の保護のためか、立入り禁止。井戸口には金網の覆い戸があり、その前に標識棒でダメのサイン。
昭和62年3月付の案内板には、「古い井戸(現在はから井戸)」と記されている。
その古井戸は(立ち入りを遠慮したので)見えないが、説明から想定すると、多分この多数の杉が癒合したでっかい株元の中に有り、使用できなくなったので、少し離れた下の斜面に石囲いの井戸が造られたようだ。
その現井戸の上には大きな柄杓が光って見える。平成20年に墨坂神社とともに「やまとの水」に追加認定される際に水質検査がなされているので、湧き出ているのは確かだろう。
*「やまとの水」について。
選定基準(PDF)に「やまとの水は飲用を保証するものではない。」と明記されていることに留意。
河川や滝、池なども選定され、選定基準の6項目の中には「 珍しい動植物が生息し保全の必要性があるもの」との項目もあり、そのような意義も含めて選定されたもの。詳しくは下記を。
(参照)「やまとの水」選定拠点、マップ等は奈良県の環境情報サイト「エコなら」
http://www.eco.pref.nara.jp/yokoso_ekonara/yamatonomizu.html (*リンク切れ)
「やまとの水」選定場所及び上記榛原区の2箇所と御所市の「祈りの滝」の水質結果(PDF)。
説明標識には「杉井戸」と「井戸杉」の呼称がある。その由来を知りたくインターネットで調べたが、「紀州民話の旅」に「井戸杉~清水町清水~」がある以外には検索できなかった。
ともあれ、他の方のブログに「井戸杉とは、水を求めて井戸を掘り、その周りに杉を植えて自然に水を集める作用を杉に託したことからこう呼ばれています」とあり、奈良県山添村の「大井戸の杉」も似たケースで、また案内板にも「井戸杉としては、県下で最大最古のもの」と記述されているので、そういう機序で植樹されたところが各地に在るんでしょうね。
お参りは、それはそれで良いのだが、そのあと案内板の「井戸周りに植樹された多数の杉の株元が癒合した連理材形式のもの」との記述を見て初めて、えっ「千本杉」。
地図や道案内標識も見ていたのに、、、アブナイトシゴロ。
滴り落ちるのではなく、水道蛇口をゆるく開けた程度に流下している。
石の上に小さな柄杓二つと中位の柄杓が置いてあり、それでペットボトルに頂いた。
うまい具合につくばい風に水が溜まるようにもしてあり、そのように造作したのだろうが、水は井戸の方から引いているのか、別ルートの湧水なのか不明。
*ブログを見て飲用に採水される方は、当然ながら、上記の奈良県の環境情報サイトの測定値データ等も参考に、あくまで自己責任で。
のんびりあたりを眺めていると柄杓が満水になるのにそれほど時間を要しない。
ムロウテンナンショウ(室生天南星) 近畿地方に多く、名前は文字通り近くの宇陀市室生に由来と。
学名Arisaema yamatense Nakaiでヤマト縁りの命名なのか。別にヤマトテンナンショウもあり、こちらはArisaema longilaminum Nakai 別名が軽井沢天南星。ややこし、、、。
この地では、ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)もハイゴケ(這苔)のふっくら絨毯のうえに。
山里の春です!!
この高井千本杉や井戸など一帯は、隣接した東側の立派な大きな個人宅の所有とのこと、他の方のブログで知りました。 湧水ありがとうございました。
ここでちょっと “寄り道” を、、、。
昔のお伊勢参りの旅人たちは、桜井から登りの道を宇陀に至り、また高井あたりから山道を行き曽爾から御杖へと旅を続けたのでしょうね。
この旧街道を歩くシミュレーションのサイトでみてみると、桜井からはほぼ真東に、地図の度会郡玉城町までおよそ90kmを30時間。何日かけて歩いたのでしょうね。このサイト 面白い使い方ができますね、お勧めです。
GPSCycling旧街道,駅伝,マラソン,サイクリングコースの地図サイト https://gcy.jp/
*現在は下図の機能は変更されたようですので、下段の機能をご利用ください。
さて、水を頂いたあと高井千本杉・杉井戸を離れ少し坂を登ると、すぐに視界が広がり田園風景。三叉路を直進し旧伊勢本街道から離れて仏隆寺へ向かいます。
くねくねと花咲く山里の細道をおよそ1km程。
こちらは間違いなく「千年桜」。
周りの桜も引き込んで、さすがに壮大な美しさ。
この迫力に惹かれて、山門への長い石段も視野から外れて、この周りで足取りはストップ。
手を伸ばして撮影したのでピントが甘いが、タチツボスミレ(立坪菫)
タチツボスミレのそばにムラサキケマン(紫華鬘)
平日の夕暮れ時だけど、下の駐車場(無料)には数台の車。
小雨の中、カバーを掛けたり、奥さん?を傘持ち助手にして、上の写真を撮影した私の両サイドでプロ?カメラマン(風)の二人が何らかのタイミングを待っている様子。
何なんだろう?と思いつつ、今日、傘を持参しなかった私は急いで下へ。
お寺へお参りできなかった分(傘がなかったせいも)、道沿いの東屋風お堂のお地蔵さまにお参りして、脇の粋な木造り支援募金箱へ寄付。
直ぐ後に、上から下りて来た軽トラのおじさんが賽銭箱等の集金に来られていました。(ご住職でしたら失礼!)
仏隆寺から榛原の町へ向かう道沿いの随所で、桜や春の花々の美しさに度々感嘆のつぶやき、、。
残念ながら、降雨で撮影出来なかったので、来るときに写した都祁(大和高原)あたりの景色を下に。
再開発で様変わした榛原駅の北口側の道路より桜井市、田原本市を経由して帰路へ。
ご覧いただき有難うございました!