大和三山に囲まれ~藤原宮跡・本薬師寺跡~ホテイアオイと野の花散策

2019年9月16日(月・祝)

近鉄あみま倶楽部のフリーハイキング「大和の古道を通りホテイアオイを鑑賞」に参加。連休の祝日、人気のホテイアオイ鑑賞と有って、電車が着くたび多くの参加者が受付に並ぶ。

モデルコースは近鉄大和八木駅から耳成山→八木札の辻→今井町→神武天皇陵→橿原神宮→本薬師寺(もとやくしじ)。

私は、今井町、神武天皇陵、橿原神宮へ幾度か訪れているので、今回は耳成山から藤原宮跡を通り、天の香具山辺りから本薬師寺へ向かうコースを採った。

道端のあちらこちらに野生ニラの群生。その中で、半円形の散形花序のてっぺんに灯台のようにひとつだけ花序が飛び出している群れに出会った。何故かどれもてっぺんあたりのひとつだけ、、、? 耳成山を背景に撮ったが、後で見るとピントがずれて、、残念(-_-;) 

ニラ(韮)

アベリアの花咲く耳成山公園を通り、ほぼ皆さん耳成山へ登ってゆく。

国名勝指定の耳成山。説明板右側先の階段と鳥居から山へ。

永年奈良県に住んで居て、初めての”登山”。低山と舐めていた、、、(~_~;) 。

鳥居をくぐるとすぐに荒い地道の、まさに ” 登山道 ” っぽい参道。         旧火山の形の良い標高139.6mの独立峰。その余分なところが無い山の形から “耳無しの山 ” とされたいう。参道は山麓を少し巻くように上っているが、それでも少しきつい!

この日も気温が高く、汗が吹き出る。

山頂近く(8合目)の耳成山口神社。小さな祠がある程度だろうと思っていたが、立派な石段と拝殿、本殿に驚き!

拝殿?にはたくさんの絵馬と、ちょっと変わっているのが写真左上の幾何学問題と解法が書かれているという「算額」。江戸時代に奉納されたものだが、ウィキペディアに依ると、「問題が解けたことを神仏に感謝し、ますます勉学に励むことを祈念して奉納された」とある。(石段上った足腰のせいで写真がブレて、、イイワケ💦)

参拝して下りてきた広場に猫ちゃん。むっちゃ眠いのか、声をかけても撫でても目を開けず、ムニャムニャまさに”眠子”。

山を下りて古池の左手を南へ。ちょうど、伊勢志摩観光特急「しまかぜ」が、晴れやかな空の白とブルーのコントラストのイメージをなびかせて走りゆく!

 耳成(みみなし)の 池し恨めし 我妹子(わぎもこ)が 来つつ潜(かづ)かば 水は涸れなむ

池の側に、万葉集(巻第16)の和歌が掲示されている。3人の男性に愛された美女が、思い余って池に身を沈めたので、水が涸れていたなら、、との思いを込めた詩とのこと。でも、その池はここでは無く、別の場所らしい。

近鉄踏切を越えた先のT字路を右折。その道筋は、古代の官製道路「横大路」。皆さんは直進して「八木札の辻交流館」へ向かうが、私はひとつ先を左折して藤原京跡の方向へ。

そして「横大路」と並進する国道を横切り南進する。この国道、今井町付近の八木から桜井市まで国道165・166・169の3つの表示が記されている重複国道。やはり古に大阪や京都など各地から、商いや伊勢や熊野へ詣でた主要な街道の合わさった証しなのだろうか。

*余談だが、165・166号線は大阪から東進し三重県に向かう重要な道路。また169号線は大阪交野や奈良法隆寺や王寺を経て吉野、熊野、新宮へと北から南へ向かう、これも重要な道路。ちなみに168号線は、169号とよく似ているが、こちらは奈良県五条市から十津川を通り新宮へ至る国道。奈良交通の日本一長いバス路線「八木新宮バス」はこの国道を走る。

傳藤原宮海犬養門趾

JR桜井線の踏み切りを越えると用水路の中に2つの大きな石が見え、説明には「醍醐町史跡 傳藤原宮海犬養門趾」とあり、藤原京の海犬養門(あめのいぬかいもん)が建っていた場所で、その礎石の一部とのこと。

環濠集落が在ったという醍醐町地区を過ぎると、藤原京の発掘保存地域(大極殿北側)がひらけ、手前の森影に隠れて「醍醐池」。そのずっと向こうの山陰は、龍門岳、経ヶ塚山、音羽山など標高の850~900mクラスの山並。左端には三輪山。

マメアサガオ (豆朝顔)  最近良く見かけるようになった帰化植物。

藤原宮跡の西側、JAの2階の「橿原市藤原京資料室」に。ガイドの方が丁寧に対応して下さいました。こちらの平城京のジオラマは必見です!!平城京跡のジオラマは多くですが、こちらの大きさ緻密さも十分驚きです。

大和三山に囲まれたこの地域を散策する前に、イメージを膨らませておくのもいいですね。(^^♪         (Googleストリートビューより)

橿原市観光マップと藤原宮跡資料室案内リーフレットを頂き、お奨めの香久山麓の「奈良文化財研究所 藤原宮跡資料室」目指して藤原宮内裏跡の草原を斜めに、てくてく進行。

今は草原のこの場所。今年の秋はコスモスはどうかな?

内裏跡東側の蓮池。南側通路からは蓮が見えないくらいの野草で覆われている。

ヒレタゴボウ(鰭田牛蒡)別名アメリカミズキンバイ  花はきれいだが、ご覧のとおりだから、農家にとっては非常に厄介もの。

宮跡の草原から稲穂の垂れる細道を辿ると、高殿町の集落内の用水路の流れに、よく見かける水草。最初はなにかの花びらが引っかかっていると思ったが、よく見ると茎が伸びている。

オオカナダモ(大カナダ藻)  花数が少ないが、1日1花ずつ水面上に出て開花するらしい。初めて見たので感激!

集落を抜けて、「奈良文化財研究所 藤原宮跡資料室」への道沿いに、草むらから飛びだし微笑みかけているような花。以前インターネットの「はなせんせ」で名前を教えてもらった。葉が矢じりの様な形は解るが、「梵天」は神様とか御幣に由来とか、、???  ヤノネボンテンカ (矢の根梵天花) アオイ科で茶花として栽培されるが、野生化も。

そして、畑に栽培されているオクラの花もきれい! オクラの背景は香久山。

オクラって日本名と思ってたけど英語Okuraだった。やはりアオイ科。

*参考に、、、。先日(9/13)、栽培の盛んな広陵町で撮ったワタ(綿)の花。上の2つと同じアオイ科なので、いずれも咲き初めから萎むまでの色の変化がおもしろい。

さて、野の草花咲く道を文字通り “道草”していくと 、突き当りの県道を挟んだ正面に施設の玄関。

香久山麓の「奈良文化財研究所」は国立文化財機構の施設だけに、非公開の整理・研究棟も含めて流石に大きい。藤原京の発掘資料も多く展示されているが、入場無料でこちらもボランティアのガイドさんが説明してくださる。

玄関先に橿原市のコミニュティーバスの停留所があり、便利!

(Google mapより) 

ガイドさんから戴いた「香久山周辺散策マップ」を見ていると、以前この山に登ったことを思い出した。標高152.4mに鎮座する「国常立神社(くにとこたちじんじゃ)」にお参りしてぐるりと山麓を回って下りた。いつ頃なぜ登ったのかは記憶にない。

万葉集にいくつも歌われた聖なる山の証しか、頂上の神社の他に「天香山神社」「天岩戸神社」「畝尾都多本神社」「畝尾坐健土安神社」の計5つの神社が鎮座している。

大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙り立ち立つ 海原は かまめ立ち立つ うまし国ぞ あきづ島 大和の国は  
 (万葉集巻1-2 舒明天皇)
香久山登り口道路脇、粋な造りの「香久山🅿・観光トイレ・休憩所」、その前を少し南へ行き、コミバスの停留所の有る道へ右折すると、朱雀大路跡の碑の前を通過して本薬師寺方向へ向かう道。(*ちなみに、右折せず直進すると2km程で甘樫丘、飛鳥寺等に至る。)

車の通行は多いが、森と田畑の続くのどかな道。明日香の里山風景、ヒガンバナ(彼岸花)が棚田の畦を埋めるように燃え上がるのももうすぐ、、かな。

     藤原の  古(ふ)りにし郷の秋萩は 咲きて散りにき 君待ちかねて (作者不明)
大きな柳の樹の下に石碑。碑文は「司馬遼太郎」氏による、と掲示。その後方に耳成山が再び。

その道向いに「朱雀大路跡」の碑。

この道を西へ向かうと、「橿原市藤原京資料室」そばを通る道に合流して南へ。飛鳥川を渡り、右手へカーブする道なりに進むと、程なく薄紫のホテイアオイの ” 絨毯 “が視野に入り、疲れが癒されるここち!

遊歩道を東側からアクセス。上の写真の右側が「本薬師寺金堂跡」、左の木立が「東塔跡」。

ホテイアオイ(布袋葵)別名ウォーターヒヤシンス

 

西側からも東塔跡を望みつつ、足元に気をつけてキョロキョロ、ウロウロ。(^^♪

白い花は数少ないが、それだけにより清々しい。

左に本薬師寺跡。中央奥は東塔跡。右側は「西塔跡」。

東の端には蓮池。もう花は咲いていないが、「藤原宮跡資料室」で觀た出土軒丸瓦の、蓮の花の模式的な形をより具体的に彷彿とさせる、うつ向いて種をほとんど落としたたくさんの花托が、それはそれで興を添えてくれた。

本薬師寺金堂跡に建つ「白鳳山醫王院」のお堂。 休憩する人は多いが、お参りする人は比較的少ない様子。

いつも、お参りしてから境内の金堂跡礎石で休憩させて頂く。感謝!

だが、境内清掃や整備に寺の方にはご苦労戴いていると思うし、「国の特別史跡」なのだが、地元の方のボランティアに負うところが大きい気がしてならない。ちょっと複雑な心境に、、。

境内南西角に庚申さん。左のお猿さんは耳を塞いでいる。気になるのが右のお猿さん?赤ちゃんを抱っこしているようにも見えるが、、。そして中央の「庚申」と掘られた奇岩、石像?上部の頭様の部分の左右に ” まなこ ” のように円形のくぼみ。何だろう?ここに庚申さんを祀ってあるのも何故だろう、、???が膨らんでいく(p_-)?

古い石仏や仏塔をお祀りして供えられた布袋葵の花が何とも言えぬ風情。その後ろにムクロジの大樹が木陰をつくってくれていたが、倒木の危険があったのか、切り取られた株が残っている。

楽しみにしていた樹なのでがっかりしたが、よく見ると切り株の中央と脇に若木が成長して葉を広げているのに気付いた。(^^ゞ

ムクロジ (無患子)  写真の中央と切り株の中に特徴のある偶数羽状複葉。ムクロジはお釈迦様が108個の実で数珠をつくって弟子に与えたとされ、高級数珠に使われている。果皮は石鹸代用でもあり、Chinese soapberry や soap nut treeとも。

一昨年?この樹の下で拾った実。

切り株周りに、花穂に可憐な黄色い5弁花をたくさん付けた野草。1m位の高さのものも有る。

キンミズヒキ (金水引)

金堂跡との境に センニンソウ (仙人草)。 おもしろいことに学名が Clematis ternifloraでテッセンやカザグルマなど、クレマチスと称しているものがセンニンソウ属とのこと。

ホテイアオイの花園に未練が残るが、少し疲れを感じたので、水鏡に映る畝傍山を眺め、ひとつ大きく深呼吸。それから左側の地道を山の方向、近鉄「畝傍御陵前」へ。

 

ご覧下さいまして、有難うございました。3^_^9!

 

 

 

 

Posted by ss-kinkon