☆折りたたみ自転車輪行の想い出② ~滋賀県安曇川から小浜、丹後半島へ~

*この記事は、想い出 ①より随分間を空けた投稿になった。

 記事の中で、白洲正子さんのことが出てきますが、これに関連して、兵庫県三田市の心月院の白洲正次郎・正子ご夫妻の墓所を再訪し、そのブログ投稿のタイミングでと思いつつ遷延したが、あえて現在日時で投稿することにした。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

🔷「折りたたみ自転車輪行の想い出 ①~近江八幡~」 に続いて、一昨年夏の輪行、JR青春18きっぷを利用した2回目の旅。 (2016年8月25~26日)。

想い出①でも書いたが、目的の一つが、相次いで亡くなった身内や友人への想いを胸に、朱印帳と軸を携えて寺院への慰霊お参りの旅。

西国三十三所霊場参りと、旅好きだった亡き姉の残した「関西花の寺二十五ヶ所」の本を基に購入した「花童女軸」を持って「花の寺」へも併せてお参りすることに。


花童女

初日に「関西花の寺」第14番興聖寺、「西国三十三所」第29番の松尾寺、「関西花の寺」第3番金剛院へお参りしたあと天橋立泊まりで、翌日「西国三十三所」第23番成相寺へお参りして、その後途中までバスを利用し、伊根町回りで中浜キャンプ場を目指す予定が、パンクのアクシデントでルート変更となった。

丹後中浜は、京都在住の高校時代に、同級生と京都市内からサイクリング、その時の海岸風景と海中の美しさに感動。社会人になり数十年来、齢を重ねても数年前までは友人らと度々キャンプに訪れていた場所。

*googleストリートビューで中浜キャンプ場を望む。堤防で囲まれて波が静かな浜辺。広い砂浜と見えにくいが、手前の草地がキャンプサイト。

1日目の行程;

 奈良駅経由で京都駅へ出て、JR湖西線安曇川駅からバスや鉄道ローカル線を乗り継ぎ、想い出深い丹後半島中浜のキャンプ場まで。

二日目の行程;
中浜から京都丹後鉄道網野駅まで自転車を走らせ、久美浜で「関西花の寺」第7番如意寺参拝、豊岡を経て山陰本線、福知山線経由で大阪駅から奈良へ戻るコース。

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🔹 さて、1日目はJRで奈良経由、京都駅から湖西線安曇川駅へ。駅前から江若バスで朽木学校前まで輪行。
そこから自転車で800mほど走り、最初に訪れたのが「花の寺」第14番高巌山興聖寺(こうしょうじ)。
朽木(くつき)村の国道367号線沿い、少し高台に在るお寺。
hana14-2国道367号線は、解り易く言えば、京都市内から宝ヶ池、八瀬、大原三千院前を通り、ずっと比良山系西側を朽木村を抜けて、保坂で小浜に通じる国道303号線に合流するまで、直線的に琵琶湖、比良山の山並みに並行するように北上している国道。

このお寺で、「関西花の寺」のお軸「花童女軸(仮巻)」にご朱印を戴きました。寺院の庭続きが通称足利庭園と呼ばれ、国の名勝指定「旧秀隣寺庭園」。

石組みと池の趣のあるお庭で、以前に車で通りがかって立ち寄った記憶が、おぼろげに、、。
(境内地続きなので庭園まで自転車を持ち込んだけど、よかったのかな 。😴)

🔹 ここまで書いて、ハットと気付いた!

そうだ近江の”石”、”古寺”といえば白洲正子さんだ。

「かくれ里」「西国巡礼」「近江山河抄」「私の古寺巡礼」などに、思慮深い考察でその場を彷彿とさせるような記述。

「旧秀隣寺庭園」についても、角川文庫「美しいもの」白洲正子エッセイ集<美術>青柳恵介・編 の中の「近江の庭園ー旧秀隣寺と大池寺」に、何度も訪れて、その印象と独自の調査に基づく歴史的考察をエッセイにしたためておられる。

この庭園についてご興味のお有りの方には、一読をお勧めしたい。
想い出①で記した「西国三十三所」の観音正寺の1200段のゴツゴツした石段の事を白洲正子さんは、「そんな所を私は、たった一人でよじ登ったのである」(かくれ里)と記述されていた。
また、同じく808段の長命寺へも行かれ、その佇まいを讃えておられる。
お若い頃だが、かなりの健脚と確固たる信念をお持ちだったのでしょうね。
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 「日本の宗教は、歩く宗教みたいなところがあって、歩かないと半分の値打ちもない。参道にようやく着いて、観音様はまだ上の方。なるほど観音様を信仰するって、大変だなって肌で分かるわけよね。」 (平凡社「白洲正子の世界」より)
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観音参りの「西国三十三所霊場」、まさに実感、共感!
私は白洲さんの”草づくし”に観るような、実に多くの地を訪れ ”道草” して考察した中に、豊かな美意識と野の草花への思いが””融和”されたエッセイというか、随想がとても好きだったし、2010年11月に滋賀県草津市の県立近代美術館で開催されていた☆白洲正子生誕100年特別展「神と仏、自然への祈り」展へ、この旅の切っ掛けにもなった亡き友と出かけて行き、また兵庫県三田市の心月院に眠る☆白洲次郎・正子ご夫妻の墓所へもお参りしていた。

Sirasu2画像をブログ「ノンさんのテラピスト」よりお借りしました

なのに、書棚に並べた書籍とともにすっかり失念していた! ホント忘れる年頃、になってしまった。(-_-;)

ちなみに、この時の白洲正子展のことと、兵庫県三田市の墓所のことをYahooブログにアップされている方がおられます。懐かしく拝見。楽しいブログですね。
・ 「ノンさんのテラピスト」 https://blogs.yahoo.co.jp/teravist/27412262.html
そしてこちらも。
・滋賀県のホームページより
「白洲正子の愛した近江」 http://www.biwako-visitors.jp/shirasu/
      *現在、ホームページリニューアルでリンク切れです。,(-.-)、
特別展開催中に行われた、当時の嘉田知事とエッセイスト高橋真名子さんの対談。
・滋賀・びわ湖ブランド推進キャンペーン
ミュージアムトーク:「白洲正子が愛した近江の魅力」
http://www.pref.shiga.lg.jp/person/m-talk-sirasu/index.html
      *現在ホームページリニューアルでリンク切れです。,(._.)、
 *三田市の心月院へは、再度訪ねてみたいと思っているので、白洲さんの事は、またその機会に、、。
🔹 次いで、JR小浜駅に向かうため、元の道を戻り国道367号線から小浜へ向かう3国道03号線に合流する保坂(ほうざか)まで峠越え。
「途中谷」の峠頂上まではほとんど押し歩き🚲、吹き出る汗💦。

でもその後は快適!ダウンヒル!途中、山からの湧き水で喉を潤して保坂のJRバス停到着。

*自転車走行距離 朽木興聖寺下~保坂JRバス停 9.5km 標高差167m (peak335m)

乗ったJRバスは、大きな観光バスタイプで座席が高く、輪行バックを担いで上がるのにはちょっとキツかったが、バックを抱きかかえて最前列の席に。
優しい運転手さん、笑顔で「下のラゲージへ入れましょ」と、確か鯖街道の宿場町「道の駅若桜熊川宿」だったかで移してくれた。
JR小浜駅から8駅先の松尾寺駅へ。そこから三十三所29番の青葉山松尾寺へ。写真はネットより拝借。

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松尾寺駅はすぐ近くが国道27号線で、駅前にも何もない無人駅。
寺へは道標に従って線路沿いの小川に沿って行くが、農道の地道で走りにくい。自転車は国道から行った方が得策だった。
しばらく行くとアスファルト道路に出て、そこから少し走ると急坂のカーブ。そこから寺まで押して登る。この曲がりくねった坂道は府道564号線になっている。
三十三所の霊場は多くが山中に在り、自転車を押して登るのはもう心得てはいるのだが、それにしても距離の割りに勾配がきつく、しかも暑さがタマラナイ!喘ぎあえぎ到着した時は、耐え切れず、お参り前に真っ先に水飲み場所へ。
寺務所の方のご好意で、蛇口に取り付けたホースの冷たい水に、生き返る心地。
ごくごく飲むのをみて、寺の方も、車で参拝に来られ、通りがかりに見ていた方も、労いの言葉をかけて下さった。
お参りを済ませてご朱印を戴き、ひとしきり山の寺の清々しい佇まいと、澄んだ空気に癒されたあと、今度は例によって、戻り坂道の怖いくらいの快適さがたまりません。

どなたかのセリフ、、「人生下り坂、最高!」

🔹 そこから次は国道27号線を西に、程近い関西花の寺第3番「金剛院へ」。
国道から近くそれほど登りでも無いので、すぐに到着。それでも木々が繁り山裾の小川に沿って奥行きがあり、静かな雰囲気。

紅葉のお寺で有名。正確には「鹿原山慈恩寺 金剛院」。参拝して「花童女軸に朱印を戴いたのち、舞鶴へ。と、元気に走らせたものの、すぐにガタガタと振動。パンク!!!

随分前にサイクリング車で、大阪から輪行なし自転車のみで丹後半島へサイクリングしたときに、西舞鶴でパンクしたことが有り、マイズルはツイテル?のか。

結局チューブ交換後にJR東舞鶴駅から輪行、次の西舞鶴駅で駅構内の京都丹後鉄道宮舞線に乗り換えて峰山駅へ。

*自転車走行距離 松尾寺駅~松尾寺 3.5km (ほぼ歩行) 標高差184m (peak232m)     松尾寺~金剛院~東舞鶴駅 11.5km (パンクのため4.5kmは歩行!)

🔹 当初は、天橋立駅で降りて、駅隣の温泉で疲れをほぐした後、天橋立の浜辺で野宿し、明けて三十三所23番成相寺へお参りする心積りであったが、変更せざるを得なくなった。

京都丹後鉄道西舞鶴駅で>乗った電車が「あおまつ号」。ラッキー・:*:・♪・:*:・!
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普通料金で乗れる観光列車で、車内は粋な造りになっていた。

 

🔹 結局午後11時過ぎに峰山駅到着、駅近の王将で遅い夕食。向かいの深夜スーパーで明日の朝食等を仕入れ、そこから中浜まで23kmあまりを走行することに。
暗い夜の国道482号線、車の通行も少なく、時折りロードバイクの若者がシューと追い越していくが、勝手知ったる道なので、マイペースでひたすらペダルを踏み続ける。

朝出発して、昼寝を取ることもなくハードな山登りとウオーキング?だったにも関わらず、深夜になってもそれほど疲れと眠気はなく、走らせる。

立岩浜の温泉「はしうど荘近くで国道178号線に合流、右折してすぐ「道の駅てんきてんき丹後」に到着。ここの駐輪場傍らで、簡易な寝袋仮眠でもと思っていたが、駐車場には車が1台も無い!
以前キャンプの際には、深夜にここへ来て、この駐車場で朝まで車中仮眠していた。そんな車中泊の車がいつも数台止まっていたのだが、、、。禁止になったのだろうか?

トイレを利用させていただいて、中浜目指して再出発。
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上弦の月の海原に、イカ釣り漁船の灯りが並ぶ沖合を眺めつつ、ペダルを漕いでは押し、押しては漕いでを繰り返し、希にすれ違う車は、こんな深夜に暗~い海沿いの国道を、リュックを背負ってママチャリのような20インチの自転車でオイコラ走っているのに出くわすと、きっといい気分はしなかっただろうね。

🔹 到着した中浜ではキャンプサイトに車2台とテント、まだ賑やかに談笑中。この時期にしては以外に少ない。
漁港側にも車が2台。月明かりの堤防に釣り人が数人。

冬季にはストーブを置いてキャンプしたくらい、好きで幾度無く訪れているが、高校時代に初めて来たときは、墓地への道沿いに続く堤防の外側は、今のように砂浜ではなく、東側の長い堤防もテトラの波除けもなく、いきなり磯の岩場で、月明かりの下、海に足を踏み入れると、青白い夜光虫の光がいくつか、流れ星のように足元から流れ去り、とても幻想的だった。
そんなことも記憶にあるとても”お気に入り”の場所。
*以下7枚の画像は、以前来た時の写真: 浜辺の岩の上にはカンゾウ(昼前まで咲いてたようだけど キスゲ?)や スカシユリの花。

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今回は浜用シャワーを使わせて頂き更衣のあと、休憩所のあずま屋で小さなLEDランプを灯し、長椅子に横になったが、流石に浜風は寒く、次第に冷えてきた。

小さくたためる災害避難用の簡易な銀シートの寝袋を持参していたので、それを使用したが、寒さは防げたものの動く度にシャカシャカ、、うるさい、、。

しかし、潮騒の心地よさに、いつしか眠りに。
nakahama10🔹 夜が明けて眺めると、先客の方々はお寝みのようだが、釣り人たちの車も堤防の人影もなく、浜は静か。

8月末、以前だとまだキャンプの賑わいが有ったはずなのに、、、。

何より寂しいのが、この時間に出入りする漁船が無く、いつもなら、前の防波堤に集団で巣作りして喧しいウミネコ達の鳴き声が無い、、、。この漁村も高齢化が進んでいるせいか、数年前から漁船が少なくなったと感じていたが、、。
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朝早いせいもあるが、親しく声を掛けてくれた地区の人の姿を目にすることもなく出発し、海岸伝いにゆっくり自転車を走らせる。

ここかしこで、泳ぎ潜って透き通った海中を伴に楽しんだ様が蘇り、しばし走りを止めて、船泊まりのスロープから足を浸けてみたものの、寂寞の想いに痛く胸を押さえつけられ、、、☆彡

*丹後松島(携帯撮影で朝の景色がシルエットのように)
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*自転車走行距離 峰山駅~中浜キャンプ場 24 km  中浜~網野駅 22.5km

国道178号線へ出て、道の駅「てんきてんき丹後」前からそのまま直進して網野方向へ。

 

🔹 京都丹後鉄道網野駅から乗車。久美浜駅まで輪行、の予定が、ここへ来て睡眠不足で意識が散慢。何故か?手前の「小天橋」駅で降りてしまった。

仕方なく駅のベンチで少し仮眠した後、駅近の国道178号へ出て、道の駅「くみはまSANKAIKAN」に立ち寄り、その後久美浜まで走る。
久美浜の町へ入ると、昼食を通りがかりの「勢野(せの)うどん」のお店に。

意図したわけではないが、この普通に小さな食堂、”あったりなかったり” とかで、ネットでも人気店らしい。席は少なく、この日も家族ずれやアベックが入ってきて、すぐに満員。肉うどんをいただいたが、コクがあり美味しかった。

昼食場所から1kmほどの所に、関西花の寺7番宝珠山如意寺。

ここは門前が久美浜湾のそば。建造物もなかなか風情があり、少し高まった境内から久美浜湾と兜山が望める。

とても綺麗に整備された境内では多種の草木花、山野草に接することができ、「花の寺」にふさわしいお寺。

今まで訪れた寺院のおおかたは、境内を美しく手を入れておられたので、何処がどうのと言うつもりは無い事を予めお断りした上で、先に記した「美しいもの」白洲正子エッセイ集の中、「近江の庭園ー旧秀隣寺と大池寺」にこんな文章があり、そのイメージが重なるので記しておきたい。

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「考えてみれば、日本の庭ほどはかないものはない。一年といわず、半年も放っておけば、自然に還元してしまう。だからこそ日々の手入れが大切であり、美しい庭というものには、持ち主の愛情だけではなく、人格のよしあしまで現れるように思う」

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願わくばミツバツツジの咲き誇る頃に再び訪れてみたいお寺でした。

境内からの眺め。久美浜の内海の向こうに姿の美しい兜山。
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*自転車走行距離 小天橋駅~久美浜駅~如意寺 9km

🔹 お参りの後、京都丹後鉄道久美浜駅から終点のJR山陰本線に接続している豊岡駅へ。
この輪行途中から激しい降雨 !!ゲリラ雨ってこんなのを言うのかと思うほど激しい。

豊岡駅からJR普通電車で福知山駅へ向かうが、途中、和田山駅だったか、その前後だったか忘れたが、多分由良川に注ぐ巻川の増水で列車がストップ。代行バスで福知山へ。

バス待ちで判ったが、同じく青春18切符を手にした若者から中年の乗客、サイクリスト等が結構たくさん乗車していたのだ。

なんとなく仲間意識が芽生えたかの様な思いが、旅を面白くさせてくれた。

福知山駅からは福知山線丹波路快速で大阪駅へ。
そして、いつもながら超いっぱい人、ひと、ヒトの大阪駅を、輪行バッグ引っ張りホーム移動。
大和路快速で奈良王寺駅へ。

 

 

 

ご覧いただき有難うございました。

 

 

 

 

 

Posted by ss-kinkon